台風や強風と賠償責任、民法717条

保険の知識

台風による損害

2018年の台風、特に21号では強風により、大きな被害が出ました。その中には風そのものによる被害だけでなく、他人の家の瓦などの建物の一部が飛んできて被害を受けたケースも多くありました。

家財の損害については、一定の条件がありますが、一般的な少額短期保険の家財補償でお支払いの対象となりますが、賠償責任について考えてみます。

損害賠償義務

台風の際に家屋の一部が飛んで、他人の物に損害を与えた場合の賠償責任保険金について考えてみます。
約款の賠償責任条項では「法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して賠償責任保険金をお支払します」とあります。
このような場合の根拠となる法律は民法717条「土地の工作物の占有者・所有者の責任」です。

民法第717条

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

この法律では土地の工作物すなわち建物などの設置又は保存に瑕疵があった場合に賠償責任を負うとしています。ここでいう瑕疵とは通常備えているべき性質や設備を欠いていることをいいます。つまり安全性に問題があるような状態のことです。
非常に強い台風で、あちこちの住宅の屋根が飛ばされるという状況であれば不可抗力であり、瑕疵があったとはいえませんので、このような場合は法律上の損害賠償責任が発生しません。従って賠償責任保険の支払対象とはならないということになります。
一方、大した風も吹かず、被害も他にはあまりなく、瑕疵があったと認められる場合に、その瑕疵が損害の発生ないしは拡大の原因となっていれば法律上の責任を負うこともあります。その場合には台風の規模や因果関係等を総合的に判断して賠償責任保険の支払対象となるか判断をすることになります。